外壁塗装を行う際、施工に入る前に必ず業者から見積り書を貰い、どの工事にどのくらいの費用がかかるのか?どの塗料を使用するのか?などの相場の確認が行えます。
外壁塗装の見積りで表示される内訳は、基本的な外壁塗装から、付帯部や雨樋などの塗装・足場代など様々で業者ごとに相見積りを貰っても全く同じ見積り書は存在しません。
よって見積り書は、各施工の相場と実際の費用の確認ができ、高すぎたり安すぎたりする見積りではないか?見極めるためにとても重要な提出物となります。
そして、外壁塗装の塗り替えは定期的に行う必要があるため、なるべく費用を抑えたいものですが、
塗装会社には悪徳業者も存在するため、安いからといって飛びつくわけにはいきません。
価格が高すぎても安すぎても悪質な業者の可能性があるので、見積り内容のみで優良業者かの判断するのは難しいので、そこも注意が必要になってきます。
本記事では、塗装依頼をする際の見積り内容についてだけではなく、“費用面と適切な施工の関係性についてベクトルを向けた塗装業者の選び方”についても解説しているので、
これから外壁塗装の塗り替えをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
外壁塗装の見積りは、なぜ必要なのか?
外壁塗装の見積りは非常に重要です。適切な見積りを得ることで、建物に必要な塗装の種類や量、費用などが明確になり、費用対効果の高い塗装作業を行うことができます。
ただし、見積りの安さだけにとらわれるのではなく、業者の信頼性や実績、施工技術なども重要な要素です。優良な業者は、見積りに対しても丁寧な説明や対応を行い、妥当な価格設定を行っています。適切な見積りと信頼できる業者選びによって、外壁塗装の費用対効果を最大化することができます。
相見積りの重要性
適切な見積りを得るためには、複数の業者から見積りを取り、比較検討することが重要です。
見積りには、塗装の種類、塗装の量、作業期間、使用する塗料の種類と量、足場の設置費用、など細かく書かれている業者からそうでない一式表記の業者が存在します。
見積りを比較することで、「塗装作業の内容や費用の違い」「明細に記載され、項目ごとになぜその費用がかかるのか?」を知ることができるので、最適な業者を選ぶことができます。
また、相見積りを取ることで、業者の対応や説明の仕方、アフターフォローの内容なども確認することができます。
外壁塗装の見積りに掲載される内訳をチェック
外壁塗装の塗り替えには、塗装以外にも足場や高圧洗浄などの費用がかかります。
まずは見積り項目は細かな作業までしっかりと明記されているかがポイントです。
業者によっての見積りの型は違うため、判断は難しい所ではありますが、
基本的には「足場代」「高圧洗浄」「養生」「コーキング等の劣化補修費」
「塗料代」「飛散防止ネット」「廃棄物処理」などが記載されていることが多いでしょう。
業者に「なぜ、ここの作業にはこれだけの費用がかかっているのか?」という質問に対して適切に解答できヒアリングできることが重要でしょう。
なので、外壁塗装の見積り内容にはどの様な項目がかかれていて、どの様な作業内容なのかについて理解することが重要です。
ここからは、外壁塗装にかかる費用の内訳をチェックしていきましょう。
足場代
業者が外壁塗装を行う際は、足場を組んでから作業を開始します。足場代は施工費用の多くを占めます。
足場代の目安は1㎡あたり700円程度。30坪の建物なら約84,000円です。
そして、足場が無いと塗装工事はできないため値引きがしづらい項目になります。
なので、見積り内容を複数業者のもので比較した際に、一番差が出ずらい項目となり、極端に安い場合は注意が必要です。
また、足場を組むだけでまとまった費用と作業工数がかかるため、外壁塗装を依頼すのであれば同時に屋根塗装も依頼した方がコストを抑えることができます。
高圧洗浄
外壁塗装の塗り替えを行う前に、業者は高圧洗浄機を使って外壁の汚れをきれいにクリーニングします。
高圧洗浄代の目安は1㎡あたり300円程度。30坪の建物なら約36,000円です。
汚れが付着している外壁や屋根の上に塗料を塗っても塗料の性能を適切に発揮でないだけではなく、塗料と外壁材の密着度が低下し、耐久性が著しく低下します。高圧洗浄は外壁材の上に塗る塗料の耐久性を高める大切な作業の1つです。
なので、見積り内容に高圧洗浄が入っていないと、品質とても怪しく業者の信頼性にまで関わる項目です。
養生
作業に入る前に、塗料が付着してはならない場所を保護するための養生をします。
養生代の目安は1㎡あたり300円程度、30坪の建物なら約36,000円が相場となります。
養生とは、窓枠などの細かな場所にブルーシートやビニールで覆い飛沫を防ぐ作業です。
養生が適切にされていないと、いくら外壁が綺麗に塗れても周りの「窓枠」「近くの床」などに塗料がついていると、見栄えとしてもマイナスになります。
なので、見積り内容に養生の項目があることも必須です。
飛散防止ネット
塗装作業を進めるにあたり、周囲の安全を確保するために、業者は飛散防止ネットを設置します。
飛散防止ネットの費用の目安は1㎡あたり100円程度。30坪の建物なら約12,000円が相場となります。
飛沫防止ネットは近くに停めてある車や、近隣へ塗料が飛沫することを防ぐ大切な工程ですが、
技術力などは問われないため、どの業者でも見積り金額としては基本的に大きな差が生まれない内容です。
近隣への配慮をしっかりと考慮してくれている業者は、飛沫防止ネット以外にも挨拶回りや周辺の掃除などを行います。
見積り書には掲載されませんが、その様な気配りができる業者を判断するには、口コミ情報や直接会ってヒアリングすることが必要です。
コーキング
サイディングの外壁はサイディング材とサイディング材の間がコーキングされています。塗り替え前にはコーキングの調整や打ち直しが必要です。
コーキング代の目安は1㎡あたり700円程度。30坪の建物なら約84,000円が相場となります。
基本的に外壁が汚れ、塗装を検討するのと同じ周期でコーキングも劣化します。
なので、サイディングボードの戸建ての場合この「コーキング撤去&打ち込み」作業は見積りに入ることが多いです。
塗料代
外壁に塗装する塗料にかかる費用です。使用する塗料により価格が上下します。
近年、戸建て住宅の塗装によく使用されているシリコン塗料の場合、目安は1㎡あたり3,000円程度。30坪の建物なら約36万円が相場となりますが、
外壁の塗料は豊富な種類とグレードがあり、使用する塗料によって費用は大きく変動します。
見積り内容にもどの塗料を使用するのか書かれていることが重要であり、その特徴を業者がしっかり理解していることが重要です。
廃棄物処理
外壁塗装の塗り替えを行うと、一定量の廃棄物が出ます。
その処分には2万円程度のお金がかかります。
見積りに廃棄物処理費用が入っていない場合、余った塗料を使い回しているか、見積り内で分散し形状している可能性があるためお客様に取って不適切なものとなります。
まず、塗料には開封後空気や水分にふれることで硬化してしまうため、可能な限り早く塗装する必要があり、塗料の種類によってそれぞれの保管期間があります。
なので、その現場で余った塗料は産廃処分費として見積りに計上していることが基本です。
誠実で安心な塗装を行ってもらうためにも見積り内容として廃棄物処理費用は、必須な項目となります。
外壁塗装の見積り書類の内訳例を見てみよう
これまでに説明した通り外壁塗装の費用は、塗装工事代だけでなく、足場代などさまざまな代金がかかってきます。
それぞれの項目が見積り書に記載されるのにはちゃんと理由があり、
1つでも不適切な施工をされると家の耐久性低下にまで発展する可能性があるものとなります。
せっかくの外壁塗装、美観も耐久性もしっかりと要望に沿って施工してもらうためにも、見積り内容は大切なものになります。
ここからは参考例として、延べ床面積が30坪の見積り書を用意いたしました。
内訳の見方を確認しましょう。
※外壁のみを塗装する場合の平均面積と単価になります。付帯工なども塗装する場合は平均が変わります。
内訳 | 面積 | 単価 | 合計 |
足場代 | 230㎡ | 800円/㎡ | 184,000円 |
養生 | 150㎡ | 200円/㎡ | 30,000円 |
高圧洗浄 | 150㎡ | 200円/㎡ | 30,000円 |
飛沫防止ネット | 230㎡ | 100円/㎡ | 23,000円 |
塗装代 | 150㎡ | 3,000円/㎡ | 450,000円 |
シーリング | 300m | 800円/m | 240,000円 |
廃棄物処理 | 一式 | 20,000円 | 20,000円 |
合計 | 977,000円 |
外壁塗装の見積りは始めて見る一般の方にはわかりにくいものなのに、詳しく書かずに、
余計な費用を成約後、施工に入ったタイミングで高額な追加費用を請求する業者も残念ながら存在します。
例えば窓は塗装しないので面積から引くのが一般的ですが、わからないだろうと面積を引かずに計算するパターンです。
細かな内訳がわかる・素人でもわかりやすい見積り書を作る業者を選ぶのがおすすめです。
使用する塗料によって見積りの内容は変わる
今回は平均値から30坪で掲載をいたしましたが、坪数が変わるにつれ施工費用なども変わってきます。
また塗料も同様で、どのような塗料を使用するかによって施工価格は変わってきます。
現在塗料メーカーの著しい進展により、様々な性能を持った塗料がリリースされています。
戸建てがある環境や条件によって使用する塗料や施工方法が多少変わることがあるため、相場通りではない費用が発生するケースがあります。
なぜ、この費用で見積りがだされているのか?納得できる説明があるか無いかがとても重要です。
塗料項目の見積りを出してもらう際の注意点
外壁塗装は「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗りが基本です。まれに1回塗りで見積りを出す業者もいるようです。
その場合、価格は3倍となります。
良心的ないい業者であれば、わかりにくいそんな見積りは出さないと思いますが、
そうでない業者は1回だけで見積りを出し、実際は3回塗るので、×3の請求をするところもあるようです。
後からトラブルになる可能性があるので、あらかじめ見積りが出されたときに、
何回塗りなのかなどはしっかり聞いておくのがいいでしょう。
また、外壁塗装工事で塗料などの材料費は約20%と大部分を占めます。安い塗料を選べば、それだけ工事全体の費用も抑えられます。
しかし、安い塗料はそれと同時に耐久年数を短いです。
数年後にまた再び外壁塗装が必要になるため、結果的にコストがかかります。
塗料種類ごとの耐久年数と費用のシュミレーション
塗料ごとのにどのような費用が変動するのかを確認しましょう。
※塗装面積は119㎡とする。
例①)1番安いアクリル系塗料の場合
アクリル系塗料は耐久年数が短いため。20年で考えると4回は行わなければなりません。
延べ床面積30坪、塗装面積119㎡で考えると、
119㎡×1,500=約178,500 4回なので×4で714,000円。
例②)外壁工事で最もよく使われているのがシリコン系塗料の場合
シリコン系塗料は高いですが10年の間で1回の塗装でいいので
119㎡×2,500=約297,500円。20年で考えると塗装は2回×2をして595,000円。
結果、アクリル系塗装よりも結果的に安くなっています。
例③)施工単価が一番高いフッ素系塗料の場合
119㎡×3,500=約416,500円
20年塗り直さなくていいので、長い間で考えるとコストパフォーマンスはいいと言えます。
優良塗装業者は見積りも優秀
外壁塗装工事の見積り書の書き方は、当然ながら業者により違います。
ただ、優良業者の見積り書は簡単に見極められるので、ここでポイントをしっかり押さえておきましょう。
誠実で適切な見積り書を提出してくれ、費用面も適正価格であればパーフェクトです。
どこを基準に適切なのか?を決めるためにも優良業者の見積り書を参考に、
まずは見極めるためのポイントを理解しておきましょう。
優良塗装業者の見積りはざっくりしていない
外壁塗装の塗り替えは、そう頻繁に依頼するものでもないので、塗り替えを経験している方も経験していない方も、
見積りの内容についてはあまりご存じないのではないでしょうか。
しかし、見積り書は優良業者を見極めるために役立つ情報を提供してくれるので、その見方を覚えておいて損はありません。
外壁塗装業者が出す見積りは、往々にしてわかりにくいことが多いのですが、だからと言って「ざっくり」ではダメです。
よくあるのが「一式いくら」の見積り書です。いくらなんでも「一式」ではざっくりすぎます。
優良業者の見積りには作業内容が書かれており、その作業にいくらかかるのかがわかるようになっています。
初めての塗り替えだと作業内容のことを話されてもよくわからないかもしれませんが、わからないなら説明してもらうことが重要です。
作業内容を知らないと、手抜きが見つかっても業者にうまく逃げられてしまうかもしれません。
優良塗装業者の見積りには、塗料ならその「製品名」や「塗装回数」「単位」「単価」、そして「金額」まで詳しく書かれているはずです。
また、その「詳しく」は詳細であることはもちろん、「わかりやすく」書かれていなければなりません。
見積りは塗装業者の良し悪しを見極めるとても大切な判断材料です。
事前に行った診断結果を元に見積り書を提出してくることも大切
そのほかにも塗装業者の良し悪しを見極める判断材料はあります。
それは現地調査の内容が的確に反映されている見積り書の提出と、それに対する適切な説明を行ってくれる業者です。
事前調査では、どこにどのような劣化症状があるのかを確認し、それに対する修復方法とかかる費用を割り出すためのものです。
よって見積りにその補修項目と費用が記載されていることは必然の内容となります。
こんな見積りを提示する塗装業者には注意しよう!
業者によって見積りの提示の仕方に、補助金や助成金や火災保険の制度について、
活用し提案をしてくるケースもあります。
これら制度を正しく活用することが出来ればベストですが、
悪徳業者はこれらの情報を上手く悪用し、無理にでも成約を取るようなケースも稀にあります。
見積り内容だけではなく、営業手法含め、その他にも、知っておくと悪徳業者に騙されないための知識がありますので、ご紹介します。
見積りが安すぎる塗装業者
相見積りの良さは、複数の塗装業者を比較することで相場がわかることです。相場は言葉を換えれば「適正価格」ですから、この適正価格から大きく外れている金額を提示してきた業者については疑ってかかる必要があります。見積りは安ければ良いというわけではありません。良い見積りとは作業内容に見合った金額の見積りです。相場よりも高すぎる見積りも問題ですが、安すぎる見積りの先には、高い確率で手抜き工事など、作業品質に関わる問題が待ち受けています。
家を訪問してくる塗装業者
基本的に「家を訪問してくる塗装業者」を相手にしてはいけません。
「今だけ特別」などの魅力的な言葉で契約をとろうとするこのような訪問営業によるトラブルが多発しています。
悪質な塗装業者の訪問営業は、その場で拒むのが鉄則です。このような業者には見積りも依頼してはなりません。「
見積りを依頼したのだから…」などと思ってしまうのがオチです。
なかには押しかけて、しかも屋根にのぼらせてくれと迫ってくる業者もいるそうです。トラブルになるだけなので気をつけましょう。
業者選びは、先ほども説明したとおり、相見積りが基本です。そのうえで業者を見極め、しっかりと打ち合わせをしてから作業を依頼します。
いかがでしたでしょうか。面積や塗料の種類だけでなく、業者によっても価格は様々なので、あくまでも参考にしていただければと思います。相場がわからなければ、見積り書を比較するときに困りますから、依頼する前に知っておく必要があります。相場より安すぎても、高すぎてもその業者は良くないと思うので、十分にインターネット等で調べて、依頼しようとしている業者がちゃんと相場とあっているのか確認してみて下さい。