外壁の色を選ぶ際に注意すべきことについて解説しています。外壁の色は、色の特性や周辺環境などの要素も考慮して選ぶことが重要です。
外壁工事の経験がある方は、「どんな色に塗り替えていいものなのかよくわからない…」こんな声もよく聞きます。外壁塗装は費用も安くはないし、できあがりがイメージと違うと思っても、そう簡単に何度も色を変えることはできません。塗り直すと言っても、また数十万円が追加でかかることも・・・
好きな色を選んでただ塗ればいいというほど外壁塗装は簡単ではないので、“その家に合った色” “塗料の種類” “艶” “塗料の価格”など、色以外にも考えなければならない要素がたくさんあります。
本記事では失敗だけは避けたい外壁塗装の色決めについて解説します。外壁の塗り替え時期が近づいてきているという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
外壁塗装の色の決め方
まず、色の決め方ですが、ふつう多くの場合は外壁の塗り替え工事契約を交わした後に、打ち合わせがあり、そこで色を話し合います。打ち合わせの内容や方法は依頼した施工店によって違いますが、代表的なのは「カラー見本帳を使う方法」「塗り板を使った方法」「カラーシミュレーションを使う方法」「塗装業者の持つ事例を参考にする方法」の4つです。
カラー見本帳を使う方法
カラー見本帳はみなさんになじみがあるのは、美容院で髪の毛を染めるときにカラー見本があると思いますが、それの外壁版だとイメージしていただければいいと思います。塗料メーカーが施工店に配る、もしくは貸し出ししているもので、標準色を含め、さまざまな色のサンプルを見ることができます。塗料メーカーが作成しているものなので、仕上がりに近い色を見て、選ぶことができます。施工店にとっても、色番号を見て、塗料を発注できるので、メリットがあります。
塗り板を使った方法
塗り版とは、見本としてA4サイズくらいの板に塗料を塗ったものです。こちらも塗料メーカーが配る、もしくは貸し出しをしているものや、施工店が自分で見本用に塗ったものがあります。カラー見本帳と違い、実際に塗ったときの色味に近いです。色だけでなく、触った感触も確かめられます。ただしカラー見本帳の方が色の種類が多いです。
カラーシュミレーションを使う方法
カラーシミュレーションは、家の写真をパソコンに取り込み、専用のソフトなどを使って、外壁や屋根の色を数パターンで出すものです。実際の外観に色を乗せるので、仕上がりのイメージは他のものよりつきやすいと思います。普通、カラーシミュレーションは施工店が作ってくれますが、手軽に自分でインターネットのサイトでもできます。いくつかおすすめのサイトを紹介します。このほかにもカラーシミュレーションができるHPはあるので、探してみてください。カラーシミュレーションするにあたって、1つ気を付けないといけないのが、モニターやブラウザによって、色の見え方が違うため、実際に塗ったものを見て、イメージと違うと思うことがあるかもしれません。また、印刷して施工店の方に見せる場合も、プリンターによって、色の出方が違うので、あくまでも参考程度にしていただければと思います。
カラーシミュレーションおすすめサイト
・エスケー化研株式会社 「住宅塗り替えシミュレーション」
http://www.sk-kaken.co.jp/simulation/
建築用塗料・塗材の大手メーカーのエスケー化研のカラーシミュレーションサイトです。
・関西ペイント株式会社 「カラーシミュレーション」
http://www.kansai.co.jp/repaint/index.html
大手総合塗料メーカーの関西ペイントのカラーシミュレーションサイトです。
・日本ペイント株式会社 「カラーシミュレーション」
http://www.hanacole.com/simulation/index.html
汎用塗料の製造販売を手掛けている大手メーカーの日本ペイントのサイトです。
ぬりかえ専門館のカラーシミュレーション
コンピューター上で、まるで外壁を着せ替えるかのように色を試せるカラーシミュレーション。さまざまな色の外壁を試せるので、カラーをイメージするにはとても便利なのです。
詳細は塗装業者とミーティングを繰り返しながら決めていきましょう。
塗装業者の持つ事例を参考にする方法
施工事例の写真なら、塗装業者のホームページにもたくさん掲載されているはずです。ホワイト、クリーム、ベージュ、グレーなど、外壁の色にはある程度の傾向がありますが、施工事例の写真を見てみると、そのほかの色も見つかるはずです。自宅にはどんな色が合いそうか、写真を眺めつつイメージをふくらませてみましょう。
定番色やはやりの色もチェックしてイメージ
外壁の塗料には、さきほどのホワイト、クリーム、ベージュ、グレーなどの定番色があります。概ね、その年の流行色も定番色をベースにしたものになるので、常に外壁色の相性について研究している専門業者の担当者に相談するのはとてもいい参考になります。また、専門担当に相談する前にネットなどでトレンドカラーをチェックしてみてもよいでしょう。
外壁塗装は色の特性を考慮しよう
外壁は、そうそうかんたんに塗り替えられるものではないので、色選びは失敗できません。こう言ってしまうとプレッシャーがかかってしまうかもしれませんが、後悔しないためには、やはりさまざまなことを考慮して色選びをしなければならないのです。せっかく塗装をしたのに、色の特性を考慮しなかったばかりに色あせや汚れの目立ち具合に悩んでしまう方もいます。ここからは、色の特性についてのお話です。
色は室内温度も考慮して選ぶ
黒い服が太陽熱を吸収することは、誰でも知っていることです。明度の高低により熱の吸収量が異なる…これは家の塗装色にも当てはまります。明度の低い色を外壁に塗装すると室内の温度は上昇しやすくなり、明度の高い色を塗装すると室内の温度は影響を受けにくくなります。もちろん、遮熱塗料を使って空調効率を上げるという考え方もあります。
あせやすい色、あせにくい色
色にはあせやすい色とあせにくい色があります。原色のようにあざやかな色はあせやすい色です。反対に、クリーム系などの少し控えめな色は、あせにくい色です。色あせは、塗料に含まれている顔料が、紫外線などの影響で劣化することで起こります。あせやすい原色に近い色は有機顔料が使われる傾向があり、少し控えめな色は無機顔料が使われる傾向があります。通常はどの色にも両方の顔料が使われますが、その配合により「あせやすい」「あせにくい」という傾向が出てしまうようです。
汚れが目立ちやすい色、目立ちにくい色
おそらく、どなたでも想像できる汚れが目立ちやすい色といえば「白」でしょう。ほかに「黒」もかなり汚れが目立ちやすい色です。外壁に付着する汚れは、砂や土など、ほとんどが中間色なので、中間色の外壁は汚れが目立ちにくいといえます。クリーム系やグレー系の外壁は地味に見えるかもしれませんが、汚れを目立たせないということを考えると、多くの家に採用されていることにも納得ですね。
外壁の色選びの際に注意すべきこと
室内温度、色あせ、汚れ、どれも外壁の色選びでとても重要な要素ですが、色選びの際に考慮しなければならないことはまだまだあります。
近隣の景観
エリアによっては、景観ガイドラインなどにより外壁の色が制限されることがあります。自分の家だからといって、好きな色が塗れるというわけではないのです。景観ガイドラインがなくても、周囲の住宅や自然、街並みなどに合わせて色を選択することはとても大切です。色選びを発端にご近所との関係が悪化してしまうということも考えられるので、景観についてはしっかり考慮するようにしましょう。
近隣の建物を参考にする
外壁の色を考えるとき、参考になるのが近隣の建物です。さまざまな住宅のカラーリングを見て、どんな色を塗ればよいのか研究してみましょう。外壁だけではなく、屋根やサッシの色の組み合わせもチェックすると、きっと良いアイデアが浮かんでくるはずです。
色見本の面積効果
外壁の色を選ぶ際の参考になるよう、塗料メーカーは色見本を作っています。しかし、この色見本が実はけっこうくせ者です。色見本は小さいため、外壁に塗装すると見え方が少し変わってしまうのです。これを「面積効果」と呼びます。たとえば、色見本で気に入った色を外壁に塗ると、ダークな色はよりダークに、ライトな色はよりライトに見えるようになります。そのため、色見本をチェックするときは、塗装業者になるべく大きな色見本を用意してもらうか、試し塗りしてもらうといいでしょう。
また、外壁の色は時間帯によって見え方が異なります。たとえば、午前中の外壁と夕方の外壁は違った感じに見えます。光の当たり方や天気の違いで外壁は違った雰囲気に見えるため、さまざまな条件下で色をチェックするとより安心できるでしょう。
塗料の艶
塗料を選ぶ際、色のことばかり考えてしまう方が多いのですが、実はもうひとつ重要なことがあります。それは「艶」です。外壁の雰囲気は艶の有無で大きく異なります。艶は好みの部分が多いのですが、塗料を選ぶ際は、この艶を考えることも忘れないようにしましょう。
家には塗装できない箇所がある
家には塗装できない箇所があります。アルミで作られた建材は、基本的にアルミカラーや白、黒などに固定されてしまうため、外壁の色は塗装できない箇所のことも考えて選びましょう。
外壁に塗る色は2色までが基本
外壁に塗る色は2色までに抑えるのが基本です。3色以上使ってしまうと、まとまりのない印象の家になってしまいます。2色にする場合でも、メインカラー1色と建物の形を考慮したアクセントカラー1色にすると、洗練された印象の家になるでしょう。
ちなみに、塗装色とサイディングの柄をうまく利用して、洗練した印象の家に仕上げる塗装方法もあります。この場合は通常、2~3色程度を重ね塗りします。どの塗装業者でもできる塗装方法ではありませんが、なかなか興味深いテクニックです。
色決めで業者間と起こる可能性が高いトラブル
外壁塗装で起こる可能性が高いのは、見本の色と違う色になったというトラブルです。なぜこのようなことが起こるかというと、カラー見本帳などで見ている色は小さいです。しかし、家の壁は面積が大きいです。小さい面積と大きい面積では見え方が違います。同じように晴れの日と曇りの日でも見え方が違うので、気を付ける必要があります。
トラブルが起こらないように・・・
では、外壁工事で見本と色が違う・思っていたのと違うとならないためにどうすればいいかですが、実際に行われている有効な方法は2つあります。
・同じ塗料や色で塗られた家を見に行く
・自分の家の施工中に色を何回も確かめる
先ほども説明しましたが、見本は面積が小さく、面積が広い家の壁では、違う色に見えることがあります。なので、実際に同じ色で塗られている家を、担当者と一緒に見に行きます。施工店でよくこの方法を行っていて、この方法で「グっと思っていたのと違う」というトラブルが減ったようです。
もう1つは塗装工事中をあまり見ないと思いますが、色の確認しに行くことです。こまめに見に行くと、早い段階で、思っていたのと違うと気づけるからです。少しでもなんか違うかもと思ったら、現場の方や担当者の人と確認して、話し合う方がいいでしょう。
まとめ
外壁塗装は数年・数十年に1度なので、できあがった家を見て、思ったのと違うなんて思いたくないですよね?色を決めるのに時間も労力もかかり、なかなかすぐには答えをだせないかと思います。カラーシミュレーションサイトなどを上手く利用して、外壁の色のイメージができるようにしてみてください。そして、外壁工事の担当者の方とよく話し合って、後悔のない外壁塗装の色選びをしましょう。